仮眠をとってはいけない。悪い夢を見るから。
今日の昼、シューマンのピアノコンツェルトの出だしを、ひたすら練習している夢を見た。
何度も何度も、同じところで間違える。
「そこの二小節だけ、CじゃなくてGメジャー」とうしろから聞こえて、私はなるほどと思う(完全に出鱈目な指示だ)。
その指示をきいたあとでも、私の音はすこしもよくならない。
鍵盤を打つたびに胸がひどく痛んで、ピアノの音のひとつひとつが、心臓に杭を打たれる音に聞こえる。
それでも、暗い坑道でつるはしを振るう坑夫のように、私は延延とピアノをたたきつづける。
ただそれだけの夢で、終わりがなかった。目が覚めたとき、私はそれがまだどこかで続いているような気がした。
くりかえす。仮眠をとってはいけない。悪い夢を見るから。
詩というか、エッセイというか。
ところで、シューマンのピアノコンツェルトはハルキル・アンセルメ/スイスロマンドが好きです。
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